Mission, Vision, and Value
- Akihiro Goto
- 2020年9月21日
- 読了時間: 4分
手段を目的化しないために、原点に立ち戻って考える。

「手段が目的化する」これは、どんなプロジェクトでも陥りやすい罠である。
ビジネスは、モノやサービスを売ることで成り立つので、企業は自社のモノやサービスがいかに優れているか、を躍起になってアピールする。顧客がある課題を抱えているときに、自社のモノやサービスを手に入れることで、いかに課題が解決されるか説得しようとする。顧客側も、本来の目的は課題を解決することなのに、いつのまにか、魅了されたモノやサービスを獲得すること自体が目的となってしまう。
プロジェクトには大きく2種類あり、1つは、課題解決へ向けて何に取組むべきか、何を採用すべきかを検討するためのプロジェクト(或いは、課題自体が何かを探る場合もある)。もう1つは、課題解決のための方法手段が決定したのち、その方法手段を実現させるために発足するプロジェクト。ITシステム導入のプロジェクトは、殆どが後者である。
狭義に考えれば「システム導入を成功させることがプロジェクトの目的」という定義は間違ってはいないが、システム導入自体が本来の目的であることはまずなく、システム導入によって解決したい課題、達成したい目標、が必ずあるはずである。それがプロジェクトの本来の存在意義であるわけで、この原点に立ち返ることをしないプロジェクトは、非常に危険な舵取りをしていると言える。
企業における原点:Mission, Vision, and Value
企業経営も同じである。企業は、当然営利目的の存在である以上、顧客に提供するモノやサービスがより多く売れることに専念する。しかし、モノやサービスというのは、企業が顧客や社会と接点をもつための手段と捉えることもできる。企業が本来目指していること、達成したいことがあり、その実現のための手段がモノやサービスであるにすぎない。
企業が社会に存在する原点は、MissionとVisionとValueによって定義される。この3つを要素とするフレームワークで言語化しておくことは、モノやサービスを企画開発すること以上に重要なことである。モノやサービスは、企業が存在する目的・使命を具現化するための手段であり、この目的・使命の軸がぶれないことが、顧客の本当の共感を生むからである。
Mission
存在意義(目的)、使命、理念
Vision
到達目標、将来のなりたい姿
Value
価値観、行動指針
ミッションは「なぜその企業は存在するのか?」というWhy の問いかけである。企業活動を通じて、社会にどんな貢献をしたいのか、誰をどのように幸せにしたいのか、自分たちはどんな成長を遂げたいのか。
ビジョンは、ミッション遂行のために企業活動を続けた結果として「どんな企業になりたいか?どんなことを実現したいのか?」という将来に対する目標設定である。定性的・定量的のいずれでもよいが、KPI(KGI)と結びつけることを重視するなら、より定量的な目標となる。ビジョンを設定することにより、我々が将来到達しようとしているゴールのイメージを社員どうしで共有でき、それに近づくためのモチベーションを引き出す手助けとなる。
バリューは、ミッション遂行やビジョン達成を、どのようなやり方で、どのような考え方で実現するのかという、我々の行動の拠り所を示すものである。人の行動を左右するのは価値観、文化であり、社員どうしでこれらが共有されていないと、企業として一貫性のある軸のぶれない活動はできない。
顧客があるモノやサービスを買うときに、企業のミッション・ビジョン・バリューを気にすることはまずない。しかし、これら企業の原点は、企業が顧客へ提供するモノやサービスに必ず影響を与えており、長期にわたって顧客の支持を獲得できるかどうかは、顧客が製品の機能を気に入ること以上に、その企業の理念に共感してもらえるか、にかかっている。
Why MixturePlus ?
今更であるが、MixturePlusのミッション、ビジョン、について毎日思いを巡らしている。プロジェクトマネジメント、コンサルティング、これらはみな、私が顧客へ提供している手段に過ぎない。来月で会社設立から3年が経過しようとしている。目の前の仕事をこなすこと、こればかりに囚われてしまい、まさしく、私自身も手段が目的化していることに気付かされている。
3年間の振返りとともに、MixturePlusのミッションを再定義しなければならない時に来ている。
手段が目的化するとモノやサービスの質は落ちてしまう可能性があると思います。忘れてしまいがちな真の目的を考え直し、それを意識して行動していくことはとても重要だと感じました。