PMOのコモディティ化と専門化③
- Akihiro Goto
- 2020年6月1日
- 読了時間: 2分
PMO = Project Management Office(前回の続き)

「あなたは、建築や不動産が専門なわけではないのに、なぜこのプロジェクトをマネジメントできるのですか?」
前回ブログで紹介しましたように、私は中国駐在時代にオフィス統合のプロジェクト管理を担当しました。その時に、同僚から言われた言葉です。
確かに、私は建築も不動産も専門ではありませんでしたが、それまで様々なプロジェクトにPM(プロジェクトマネジャー)或いはPMOという立場で携わってきましたので、その経験とスキルを活かすことで、オフィス統合プロジェクトもリードすることができました。
我々コンサルティング(またはIT)業界において、クライアントが自社の課題解決・プロジェクト遂行のためにコンサルタントを探す時に、業界知識があるか?、類似プロジェクトの経験があるか?、採用しようとする技術を熟知しているか?、などを問うのは一般的です。特に、業務コンサルタントやITコンサルタントを探す時には、これらは必須条件になります。しかし、PMOを探す時には、これらの条件は勿論満たしているのがベターですが(Nice to Have)、必ず必要というわけでもありません(Must Have)。PMOに問われるのは、やはり、プロジェクト管理の経験と能力です。極端に言えば、プロジェクト管理に長けていれば、取り扱うプロジェクトの内容そのものは、何でもいいのです。
プロジェクト管理の能力を客観的に測る資格であるPMPの有無やPMBOKの理解度が問われる場合もあります。しかし、それほど難易度の高くないプロジェクトのPMO、補佐的なPMOであれば、この選定基準は有効ですが(=コモディティ化されたPMOの範疇)、実際には、「知識」の有無だけを見て、そのプロジェクトにとって適したPMO人材を選定しようとするのは危険です。「知識」ではなく「知恵」を併せ持っているかどうか、これが重要なことが多いのです(「PMOのコモディティ化と専門化①」記事参照)。
「知識」=知ること、知っている内容
「知恵」=物事の道理を判断し、問題を解決していく能力
この「知恵」の獲得を追求すること、それが、PMOの専門化だと考えます。既に形式知化されているプロジェクト管理に関する「知識」(=PMBOKガイド)とは対照的に、この「知恵」の領域は、まだまだ暗黙知に依存しているのが現状ではないでしょうか。
従って、PMOの専門化の追求は、優秀なPMOが暗黙知として持つ「知恵」の形式知化へのチャレンジだと考えます。私自身も、次回以降のコラムの中で、これに取り組んでいきたいと思います。
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