PMOのコモディティ化と専門化①
- Akihiro Goto
- 2020年5月28日
- 読了時間: 3分
PMO = Project Management Office
ここ数年で、かなり定着したこの呼称ですが、私はあまり場に馴染まない時には「プロジェクト事務局」や「PM支援チーム」と呼んだりします。PMとPMOの2つの言葉も、実は使われ方が曖昧だったりしますよね。
プロジェクトがあって、PM(プロジェクト・マネジャー)がいて、そしてPMOが存在するわけですが、”PMをサポートするのがPMO”という定義は間違ってはいないものの、大いに誤解を生みかねないとも言えます。なぜなら、PMとPMOは、プロジェクトにおける役割が異なること、そして、PMOはいわば補佐的・事務的な業務だけではなく、プロジェクト管理ノウハウに精通した専門的な業務も対象となるからです。ただし、このPMOの定義はプロジェクトによってまちまちであり、前者の事務的サポートに留まる場合もあれば、プロジェクト管理の専門家を指す場合もあり、さらにはその両方を包含するチームとして定義される場合もあります。従って、どの定義が正しい、ということでもないのです。
事務的領域(アドミニ)は勿論、プロジェクト管理ノウハウの領域においても、各プロジェクトの内容如何に左右されない一般的な方法論があります(それを体系化したのがPMBOKであり、その習得度を測る資格がPMPです)。PMPの受験資格には一定期間の実務経験が求められている通り、プロジェクト管理ノウハウは座学だけで習得できるものではありませんが、しかし、ある程度は座学、つまり知識の習得でカバーできるのも事実です。
知識と知恵の違いは、
「知識」=知ること、知っている内容
「知恵」=物事の道理を判断し、問題を解決していく能力
PMPの資格は、プロジェクト管理に関する「知識」を有しているかを証明できるに過ぎず、「知恵」を有しているかどうかは、実際のプロジェクト現場におけるパフォーマンスでしか測ることができません。プロジェクトは、常に多くの不確実要素や特殊事情を含むので、プロジェクト成功にとって、「知識」は必要条件にはなりますが十分条件ではありません。やはり、最後は「知恵」の勝負になります。
PMOの役割・SOW(Scope of Work)を汎用的な業務領域、つまり一般方法論で通用する領域に限定できれば、PMOは「知識」さえあれば十分に業務を完遂できます。言い換えれば、この領域にフォーカスすればPMO業務をかなりコモディティ化することができます。PMOが広く認知され、その需要が増え続けているマーケット・トレンドをうまく捉え、PMOノウハウを徹底的にコモディティ化することで事業展開に成功している企業も現れています。私が注目している企業は、未経験者であっても徹底した教育を施し、各種ツールで武装させることで、短期間でクライアントへ有償サービスを提供できるPMO人材を大量に輩出するノウハウを確立し、急速な成長を遂げています。
新しい商品やサービスが開発されて世の中に登場した後で、それが人々の生活にとっての必需品になるには、それがある程度コモディティ化されなければなりませんが、その意味で、PMOのコモディティ化に成功している企業の功績は大きいと思います。私自身も、そんなビジネスに携わってみたいという気持ちもあります。一方で、PMOのコモディティ化ではなく、専門化を追求するアプローチもあると考えています。次回以降、触れていきます。
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