顔出しNGのリモート会議
- Akihiro Goto
- 2021年8月27日
- 読了時間: 3分

リモート会議の作法は、会社の文化やリーダーの考えなど、違いがあって面白い。
リモート会議は、本来は対面で行いたい会議の代替手段として、物理的な制約を回避するために通信技術を用いたコミュニケーション方法として普及発展してきたものと考えていた。よって、通信技術の向上に伴って、いかにリアルな臨場感のある会議へ近づけるかが目標となり、私も無意識にVRと同じ捉え方をしていた。もう30年前のことだが、ホログラム技術を応用して、会議室に置いたマネキンの顔に遠隔地にいる会議参加者の顔映像を投影することにより、いかにも会議室の隣にいるような臨場感を演出するといった実験がMITラボで行われているという本を読んで、ワクワクしたことを今でも覚えている。
人間は、色々な五感を用いて状況を認知しており、電話(音声のみ)よりはビデオ会議(音声+映像)の方が、コミュニケーションの伝達効率は高い。実際、相手の表情を見れるほうが、言葉以上に相手の様子を理解するには有効であるし、従って、作法は異なるものの、全員が受け入れられるのであれば、リモート会議は顔出し(カメラオン)で行う方が望ましいと考えてきた。
ところが、先日、あるクライアントとの会議に臨んだ時に「ビデオはオフでお願いします」と言われ、少し驚いてしまった。会議というより、新しいメンバを紹介するという面接に近い打合せだったのだが、それであれば、相手は当然、初対面の人がどんな人なのかを知りたく、むしろビデオ・オンを依頼されると思っていたのだ。
真っ先に頭に浮かんだのは「人を評価するときに、生い立ちや学歴で判断すべきではないという視点と同様に、外見で判断すべきではない」という考えから来ているのだろうか?という憶測である。なるほど。以前のブログで、対面会議に比べたリモートワーク会議の利点として、相手の身振り手振りの態度などからくるバイアスを減らし、会話の内容そのもに集中できることによって、かえって質の高いコミュニケーションが取れるという点について触れたことがあるが、これに近いのかも知れない。
私も、リモートワークが仕事の基本スタイルとなって1年半が経過しようとしている。この間、一度も対面で会うこともなく、プロジェクトに加わり、そして去っていった同僚が何人もいる。これが当たり前になってしまっている。
誰もが「人は見かけで判断してはいけない」と言う。その通りだ。しかし一方で、人間(生き物)は、自らの身を守るために、周囲の人間(生き物)が自分を攻撃する危険性があるのかないのか、できるかぎり速く判断する必要があり、見かけで良し悪しを即断しようとすることは生き物としての本性であるとも思う。また、外見は内面の写し鏡であるというのも否定できないと思っており、性格、人柄、その時の精神・心理状態などは、少なからず外見に現れるものだ。そう考えると、顔出しを強制しない、各人の意思に任せることはよいとして、初対面での会話や、面談などお互いを知ることが目的の場合には、ビデオ・オンの効用は十分にあるとも考えている。私はやはり、面接のときには、ビデオ・オンを強制はしないものの、その方が好ましいと考えているようだ。
Comments