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起こり得るリスクとの付き合い方

  • 執筆者の写真: Akihiro Goto
    Akihiro Goto
  • 2023年8月14日
  • 読了時間: 3分

ある一定の確率で将来発生し得る事態に対し、我々はどう対処すればいいのか?

今年の夏休みの出来事

先週、家族で福岡へ夏休みの旅行へ出かけたのだが、台風6号の到来により、出発の1週間前からメディアでは九州上陸の可能性が高いと盛んに警告を鳴らしていた。飛行機搭乗の3日前から、搭乗予定の便が欠航の恐れがあるため、無償でのキャンセルを受付けるとの連絡が入るようになった。


さあ、どうしたものか?4日間の滞在中、台風の影響は前半に限られ、かつ直撃は免れるようなので、福岡へたどり着けさえすれば予定していたイベントは概ねこなせそうだ。今回の台風進路では山陽新幹線が運休となる可能性は非常に低いとみて、前日に博多行きの新幹線チケットを予約し、空路とのダブルブッキング状態で当日の朝を迎えた。


当日の朝、台風に対する予報は前日と大きく変わらず、飛行機は欠航、遅延、そして羽田へ引き返す可能性もあるという条件付きフライトが続いていた。福岡へたどり着くことを最優先に考え、フライトはキャンセルし、新幹線を選択した。キャンセルしたフライト料金の全額返金はあるものの、新幹線料金の方がそれを上回るため、当初通りの計画に比べて旅費が高くつくことがこの時点で確定した。


さて、結果は・・・搭乗予定だったフライトは15分遅れで無事福岡に到着した。新幹線への変更は必要なかったわけだが、これはあくまで結果論であり、東京を出発する前のフライトの欠航・引き返しのリスクは存在していたため、福岡に到着できる確率を最大化するための選択肢であったと考えている。

ある有名人H氏の出来事

ちょうど東京へ戻った日に、ある有名人H氏のSNSへの投稿を見つけた。彼は、地方都市を回るイベントを開催していたのだが、広島から今治へ渡るしまなみ海道が衝突事故により大渋滞し、今治のイベント会場へ予定通りたどり着くことができなかった。地方は交通インフラが限定されており、代替手段が取りづらいという問題を指摘していた。


1秒でも現在より先の未来において、100%保証されている計画はない。しかし、計画通りに物事が起こる確率は、その状況に応じて大きく異なる。確率が高くないほど、我々は代替手段を用意しようとする。また、計画通りに行かなかったときの代償が大きいほど、代替手段を入念に準備しようとする。その意思決定に正解はないのだが、H氏は「仕事を確実にこなすためには、こういう経験の積み重ねが重要である」と語っているのが、妙に腑に落ちた。

将来リスクに対する、自分自身の感度とコントロール

将来発生し得る事態に対して、自分自身がどう判断・行動するか、この感度は個人差が非常に大きいと思う。夏休みの旅行に対する台風の影響を極力排除したいのであれば、そもそもこのシーズンの九州旅行は避け、北海道旅行を計画するという人もいるだろう。空路を避け、陸路を優先する人もいるだろう。これらは、自分の判断で将来リスクを予め低減コントロールできる一例でもある。


仕事、プロジェクト、そして日常の人生においても、将来リスクと向き合うための意思決定を我々は無数に行っている。個人の性格やリスク耐性にも依存するし、感情にも振り回されるし、代替手段の準備にかけられる経済余力にも依存する。代替手段の準備にはコストだけでなく時間も必要とするため、スピードとのトレードオフにもなりかねない。意思決定に情報は不可欠であるが、過多な情報や、バイアスのかかった情報は意思決定の質を大きく左右する。全く厄介な話である。


しかし、将来発生し得る事象に対し、その発生確率と発生時の代償・損害を掛け合わせ、常に複数の選択肢を用意するということは、未来の不確実性に対する自らのコントロール性を高めることになる。その繰り返しが、よりよい仕事をこなす、そしてよりよい人生を過ごすための積み重ねとなっていくのだろう。





 
 
 

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