未来・現在・過去を考える
- Akihiro Goto
- 2022年3月27日
- 読了時間: 4分

先日、東京ミッドタウンで開催されているFutures In-Sight 展へ行った。未来・現在・過去の3つの関係を考え直す良い刺激を受けることができた。
FORECAST & BACKCAST
フォアキャストとは現在の延長線上に予測を積上げて未来を描くことを指し、バックキャストとは遠くの未来を大胆に描いてから、そこへと至る近未来を予測することである。
私たちが未来について考えるとき、無意識のうちに選んでいるのはフォアキャストである。過去の延長線上に現在があって、現在の延長線上に未来がある、従って、私たちは近い未来から順番にその先の未来を考えようとする。
社会や技術の進歩がゆるやかだった時代は、変化が少しずつ連続して起きていたのでこのフォアキャストだけで十分通用したのだが、最近においては変化は不連続で複雑であり、近い未来から順番に考えていったときに、思考が行き詰まりやすくなっているのだ。そこで発想を逆転させたのがバックキャストである。
このバックキャストは、事業戦略を策定する上でも一つの手法として登場するが、プロジェクトマネジメントにも大いに関連性がある。未来の特定のタイミングでのゴールを設定して、そこへ計画的に近づくべくリードしていくのがプロジェクトマネジメントであることを考えると、むしろこのバックキャストのアプローチそのものであると言える。
仕事でもプライベートでも、バックキャストの発想は馴染みにくいのだが、前回コラムに書いた「Die with Zero」でも、自分が死んでしまう未来から逆算してお金を使ったり、行動したりすることを勧めているという意味でバックキャストのアプローチである。時間が有限であることを何よりも先に意識することから始めなければならないと実感している。
過去・現在・未来の関係性は、8通り
| 過去 | 現在 | 未来 |
1 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | ー |
3 | 〇 | ー | ー |
4 | 〇 | ー | 〇 |
5 | ー | 〇 | 〇 |
6 | ー | 〇 | ー |
7 | ー | ー | 〇 |
8 | ー | ー | ー |
「未来を考える」ことは得てして1番、2番や7番のことだと捉えがちだが、4番のような現在をバイパスして過去から未来へ向かうこともあるし、6番のように現在にしか起きないこともある。このように、色々な視座を持つことも未来を考える上では重要である。
線形の時間が描く円環
過去・現在・未来の関係性を、別の言葉で表現する。
過去が現在に影響を与える
過去が未来に影響を与える
現在が未来に影響を与える
現在が過去に影響を与える
未来が現在に影響を与える
未来が過去に影響を与える
過去、現在、未来を一方通行として捉えない発想で、映画で言えばBack To The Futureの世界であろうか。
過去つまり歴史というのは、既に起きたことであり、これが変わることはないと思いがちだが、歴史は度々更新されているのも事実である。新たな発見により、これまでの有力説が否定されることもあるし、また、人々の主観が変化することにより、過去の見え方が変わっていくということもある。
過去のある行動や意思決定が、自分の人生には正しくなかったと後悔していたが、自分の人生や環境の変化によって、その過去の行動や意思決定が望ましいものであったと解釈が一転することもある。
そう考えると、未来、現在、過去、という時系列とは逆方向での影響も大いに存在すると言える。
差分としての未来
生物は徐々に進化するのではなく、ある時期に急激に変化が起こるという断続平衡説のように、未来も段階的に訪れるのではなく、突然、大きな変化として訪れることがある(パンデミックのように)。その場合、未来とはその変化の差分であり、未来が100年来ないこともあれば、1年で訪れる場合もある。
まさにコロナ禍において、我々はこの体験をしたと言える。あっという間にリモートワークの働き方が席巻している(勿論、あっという間に元に戻っているところもあるが)。
「未来」を起点に考える。
今から先のことを想像してみたときに、1時間後の自分は容易に想像できる、明日の自分も何をしているか予想がつく、1週間後もそれなりに予定が決まっている、、、では1カ月後は?半年後は?1年後は?、、、5年後は?10年後は?
未来を描くための強力な武器は、想像力である。そして、何かを達成したいという強い願望、執念、コミットメントである。これらの武器をどう生かすかによって、自分の未来は大きく変わってくる。未来は、やがてやってくる未知な世界ではなく、自分自身が創り出すものである。そんなことをもっと意識して、時には過去の自分も振り返りながら、未来を考えていきたい。
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