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「安くて良い」は世界の非常識

  • 執筆者の写真: Akihiro Goto
    Akihiro Goto
  • 2020年5月27日
  • 読了時間: 3分

サービスの価格(安いvs.高い)と品質(良いvs.悪い)のマトリクスの中で、一番魅力的なのが「安くて良いもの」。「高くて悪い」は論外として、「高くて良い」「安くて悪い」は当たり前。誰もが疑わない一般常識かと思いきや、「安くて良い」は世界の常識ではないのです。


世界の常識は、「良いものは高い」「良いから高い」。


そんな常識を持つ世界中の人々を最近驚かせている国があります。日本です。良いものが安く手に入る、美味しい食事をリーズナブルに楽しめる、そんな国に世界中から旅行客が押し寄せるのも当然ですよね。


私は2007年から2016年までの約10年間、中国の北京・上海に駐在しました。当初、中国の物価は安く、ただし品質はガッカリさせられることも多く、ただ安いのだから仕方ないかと考えていました。しかし駐在が長くなるにつれて、一時帰国した日本で「あれ、日本って安いなあ。しかも品質もしっかりしてるし」と感じることが増えていきました。


物価水準だけで言えば、少なくとも北京や上海など中国の大都市は、日本と逆転したのです。品質について言うと、中国を含む世界の一般常識は、価格に正比例します。一方、日本は価格が低くても品質水準が担保される商品・サービスで溢れています。


ここで別の話をします。日本の労働生産性は、先進国の中で最も低く、労働1時間当たりの付加価値創出金額が他国に比べて低いわけです、そのため、昨今は「働き方改革」だとか「デジタルシフト」と言った仕事の効率性アップに躍起になっていますが、もう一つの原因として「日本は、そもそも商品やサービスの本来の価値を、正しく価格に反映して販売できていない」のではないでしょうか?


我々の業界は、相変わらず人月商売の世界で回っていますが(前回ブログ参照)、残念ながら、人月単価という取引条件は、本来なら個々コンサルタントのスキルに準じるものであるはずが、実際はマーケットの需要と供給のバランスに大きく左右されるのも事実です。例えば、企業のIT投資が活発で沢山のシステム導入プロジェクトの人材ニーズが旺盛な時には、スキルの低いITコンサルタントであっても割高な人月単価で契約が成立することが可能です。しかし、これは業界全体にとって良いことではありません。「高いのに悪い」という望ましくない状況を産み出しているからです。


日本は、自らの商品やサービスの価値を正しく自己評価し、決して不当に価格を吊り上げるのではなく、正当な対価を、その価値がわかる人にだけ提供するという発想に変えていく必要があります。コンサルティング業界も、これと同じだと思うのです。高い単価というのは、クライアントに対し、それに見合う成果・アウトプットを提供しなければならないというコミットメント(義務約束)だと自覚しなければなりません。そのコミットメントに自信がないのであれば、自分をそんな高単価で売ってはいけないのです。


コンサルタントの単価が、その人が産み出す成果・アウトプットの価値を正当に表しているのであれば、安易なディスカウントは避けるべきであり(もし単価が正当でないなら、それ自体が問題だが)、その価値が分かるクライアントと巡り合うのが、コンサルタントにとっても最もハッピーだと言えます。日本の商品やサービスが、今より高くても、その価値が分かる人が買ってくれて、日本に来てくれれば良い、ということと通じるのだと思います。








 
 
 

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